「ミイル(miil)」というフード系ソーシャルアプリがあります。ブログやSNSなどで料理の写真を公開するひとも多いかとおもいますが、「ミイル(miil)」は料理の写真を撮って友達と共有できる写真アプリです。Android版およびiOS版が提供されています。
http://miil.me/
大学時代の知人の有賀薫さんは、このアプリを使って365日間、毎朝スープを撮り続けました。その365日分の朝のスープ写真とともに、ご自身で描かれた絵を展示し、さらにレシピの公開に加えて実際に会場でスープまで飲めるという至れりつくせりのイベントが神楽坂フラスコで行われた『スープ・カレンダー』でした。
地下鉄東西線の神楽坂駅、神楽坂方面の出口からゆるやかに坂を下り、100円ショップの角を左に折れて公園に向かう路地をちょっと入ったところにフラスコはありました。1階の入り口が路地に面していて、散歩中にふらりと立ち寄るひともいたようです。
神楽坂って、いい感じの街ですね。ぼくはあまり来たことがなかったのだけれど、なんとなく和む雰囲気がありました。そんな神楽坂の路地裏でさりげなく展示されているスープたち。神楽坂にスープはよく似合うかもしれない、とおもったりして。
開放的な入り口から、壁いちめんに貼られた365日のスープがみえます。女性だけでなく男性の方もたくさん来ていました。
365日のスープには、ひとつとして同じ顔がない。毎日違うスープを作ろうと決めていたそうですが、色とりどりの365品を見渡していると圧倒的な生活のチカラを感じました。
カレンダーは特殊なクロスに印刷されたもので、レイアウトデザインに関してはblue vespaというデザイン制作会社とのコラボ。確かに商品として買い求めたくなるクォリティを感じました。この展覧会に合わせて絵画も描いたそうですが、プロのデザイン仕事に匹敵するような作品を描かなければならず、かなりプレッシャーを感じたと有賀さんはお話されていました。
とはいえ、有賀さんの描かれた絵もよかったですよ。水彩の淡い滲み具合がとても繊細です。ぼくは鍋を描いた絵のメタリックさに惹かれました。
会場にはいくつかのスープのレシピと実際に使う野菜も展示されていました。野菜は会場で買い求めることもできる。
しかも、「本日のスープ」として展示されているスープを会場で食べることができます。レシピのなかから2品のスープが提供されていて、ぼくは春野菜のミネストローネをいただきました。500円。おいしかった。やさしい味がする、という感想を述べていた方がいましたが、春の味がしました。
有賀さんが会場で配っていた名刺には「画家/スープ作家」という肩書きが書かれていて、おもしろいとおもいました。絵を描くことで彼女は創造的な活動をしているわけだけれども、主婦が毎朝作るスープも十分にクリエイティブであり、生活がアートになる。しかも365日という日々の積み重ねは圧倒的な実績として「表現力」をもつ。
創造というものは、どこか洗練された遠い世界にあるのではなく、ぼくらの生活のなかに既に存在しているんじゃないかな、ということを神楽坂からの帰り道に考えました。
http://miil.me/
大学時代の知人の有賀薫さんは、このアプリを使って365日間、毎朝スープを撮り続けました。その365日分の朝のスープ写真とともに、ご自身で描かれた絵を展示し、さらにレシピの公開に加えて実際に会場でスープまで飲めるという至れりつくせりのイベントが神楽坂フラスコで行われた『スープ・カレンダー』でした。
地下鉄東西線の神楽坂駅、神楽坂方面の出口からゆるやかに坂を下り、100円ショップの角を左に折れて公園に向かう路地をちょっと入ったところにフラスコはありました。1階の入り口が路地に面していて、散歩中にふらりと立ち寄るひともいたようです。
神楽坂って、いい感じの街ですね。ぼくはあまり来たことがなかったのだけれど、なんとなく和む雰囲気がありました。そんな神楽坂の路地裏でさりげなく展示されているスープたち。神楽坂にスープはよく似合うかもしれない、とおもったりして。
開放的な入り口から、壁いちめんに貼られた365日のスープがみえます。女性だけでなく男性の方もたくさん来ていました。
365日のスープには、ひとつとして同じ顔がない。毎日違うスープを作ろうと決めていたそうですが、色とりどりの365品を見渡していると圧倒的な生活のチカラを感じました。
カレンダーは特殊なクロスに印刷されたもので、レイアウトデザインに関してはblue vespaというデザイン制作会社とのコラボ。確かに商品として買い求めたくなるクォリティを感じました。この展覧会に合わせて絵画も描いたそうですが、プロのデザイン仕事に匹敵するような作品を描かなければならず、かなりプレッシャーを感じたと有賀さんはお話されていました。
とはいえ、有賀さんの描かれた絵もよかったですよ。水彩の淡い滲み具合がとても繊細です。ぼくは鍋を描いた絵のメタリックさに惹かれました。
会場にはいくつかのスープのレシピと実際に使う野菜も展示されていました。野菜は会場で買い求めることもできる。
しかも、「本日のスープ」として展示されているスープを会場で食べることができます。レシピのなかから2品のスープが提供されていて、ぼくは春野菜のミネストローネをいただきました。500円。おいしかった。やさしい味がする、という感想を述べていた方がいましたが、春の味がしました。
有賀さんが会場で配っていた名刺には「画家/スープ作家」という肩書きが書かれていて、おもしろいとおもいました。絵を描くことで彼女は創造的な活動をしているわけだけれども、主婦が毎朝作るスープも十分にクリエイティブであり、生活がアートになる。しかも365日という日々の積み重ねは圧倒的な実績として「表現力」をもつ。
創造というものは、どこか洗練された遠い世界にあるのではなく、ぼくらの生活のなかに既に存在しているんじゃないかな、ということを神楽坂からの帰り道に考えました。