「チャンスの女神には後ろ髪がない」と言われます。こんな感じでしょうか。i Pad mini の「Paper」というアプリで描いてみました。
なんだかアヴァンギャルドな女神さまですね。パンクとか前衛美術とかやってそう。
「チャンスの女神様は珍しい、希少価値だから気を付けなさい」ということではなく、「チャンスはあっという間に過ぎ去ってしまうので、前髪を掴むようなことはできても後ろ髪は掴めない、だからしっかりと好機を逃さないようにしなさい」という意味です。
ネットで調べてみると、この言葉の元となったモデルはギリシア神話にあり、女神ではなく少年の神様のようでした。彼の名前は、カイロス( Καιρός, Wikipedia:カイロス)。前髪が長く、後ろ髪は短い美少年です。そして「瞬足」は履いていませんが、両足には翼が生えているそうです。だからきっと飛ぶように速く走ることができるのでしょう。この神話のことをレオナルド・ダ・ヴィンチがローマ神話の女神と勘違いして使ったため、女神として広がってしまったとする説もあります。
カイロスはギリシア語で「機会(チャンス)」を表すようです。ギリシア語には時を表す言葉がふたつあり、一瞬の時間は「カイロス」であり、過去から未来に流れ続ける永遠の時間は「クロノス」とのこと。
「一期一会」という言葉もあります。「いま」という時間は一生に一度きりのものであり、二度と訪れることはありません。だからこそ出会ったひとたちと過ごす時間を大切にして、一生に一度の機会を大切にしましょうということです。こちらは茶道の言葉で、千利休の弟子である山上宗二が「茶湯者覚悟十躰」に書き記しています。
ビジネスの分野では、First-Mover Advantage ということも言われます。要するに「先手必勝」であり、市場を真っ先に切り拓いた企業が先行者利益を得るということです。
例えば、日清食品の「カップヌードル」はカップ麺という新しい市場を切り拓いたことで不動の地位を得ました。新領域を切り拓いた企業のメリットとしては、話題性があるためにメディアなどで取り上げられやすく、広告宣伝費用を抑えられます。また、一度築きあげたブランドやシェアを追随する企業が覆すためには多大な労力が必要なため、独占的な地位を築くことができます。先行者にはノウハウが蓄積しやすいというメリットもあります。
もたもたしているとチャンスはあっという間に過ぎ去ってしまいます。いまを大切にして、訪れた好機を着実に掴んでいきたいものです。
(外岡 浩)