仕事の最近のブログ記事

新緑の季節を過ぎて、木々の色が濃くなった。

天気のいい日には、
ときどき近所の公園でランチをする。

サブウェイのサンドイッチをひとつ、
350mlの缶ビールを2本。
商店街で調達して公園に訪れる。

木漏れ日の下で味わう
サンドイッチとビールがうまい。
無邪気に遊びまわる子供たちが可愛い。

気持ちがいいので、
そのままベンチでMacBook Air を開いて
スマホとテザリングして
調べ物や仕事をはじめてしまう。

ところがふと気が付くと、
保育園や幼稚園が終わって
周囲はお迎えのママさんと子供たちで
いっぱいだったりする。

場違いな自分は
いたたまれなくなって退散(苦笑)

ところで、緑はもちろん空の青など
ぼくらの世界には色彩があふれている。

しかしながら、この色彩を
きちんと認識できないひともいる。
色盲の方々だ。

私事で失礼するが、亡き自分の父も色弱だった。
赤い色などがグレイに見えてしまう、そんな風だったと記憶している。

色が見えにくい方に、カラフルな世界をみせるために
特殊なメガネを開発しているひとがいる。

YouTubeで紹介されているので動画を。



あるキュレーションサイトで紹介されていたのだが
以下の動画も感動的だ。

はじめて色彩のある世界を体験したお父さんは
感極まってうずくまって泣いてしまう。



グーグルグラスのように
「オーケー、グラス!」と呼びかけると機能するようなガジェットじゃない。
あるいは、AR(拡張現実)をみせる大袈裟なゴーグルでもない。

しかし、色盲のひとにとっては世界を
そして人生を変える、かけがえのないツールである。

こういう研究開発を地道に
しかし着実に実現しているひとは素晴らしい。

仕事ではライティング(原稿書き)はもちろん
デザインも手掛けることがあるので、色について究めたくなった。
そこで図書館で色に関する本を借りてきた。

というのも、水野学氏の『センスは知識からはじまる』という本で
センスは後天的なものではなく、知識を蓄積することで
向上させることが可能ということを学んだからだ。


4022511745センスは知識からはじまる
水野 学
朝日新聞出版 2014-04-18

by G-Tools


色についてセンスをアップさせるのであれば
まず色の科学的特性、色彩学、そしてアートなど
あらゆる色の知識を学び、色に接する機会を増やすことが
重要じゃないか、と考えた。

もちろん美術館に足を運んで
実際に絵画を鑑賞することも重要である。
「なんとなくこの色が好きかも」という感覚に頼っているだけでは
色彩感覚は磨けない。

いろんな本を借りてきたが
『カラー版徹底図解 色のしくみ』は少年心をくすぐる。


4405106789徹底図解 色のしくみ―初期の光学理論から色彩心理学・民族の色彩まで (カラー版徹底図解)
城 一夫
新星出版社 2009-03

by G-Tools


色についてのさまざまな知識が
科学的な側面から心理学、文化まで網羅されている。

光が電磁波の一種である、ということに
なぜかよくわからないが「そうか!」と感銘を受けた。

共感覚と呼ばれる能力を持つ方々がいらっしゃって
音や文章に色を見る。

光も音も波動であるならば
音の波動に色を見ることもあるだろう。

過去に読んだ本ではあるが
共感覚については、次の本が衝撃的だった。


4569771092音に色が見える世界 (PHP新書)
岩崎 純一
PHP研究所 2009-09-16

by G-Tools


きちんと世界の色彩を認識しているつもりでも
もしかすると識別できない色があるかもしれない。

フェイスブックで教えていただいたのだが
以下のようなサイトも興味深い。

見える色の数が、人によって違う!?4人に1人しか分からない「カラーテスト」にチャレンジ!

最近、稲盛和夫氏が私淑されているという
安岡正篤氏の『人生は自ら創る』という本を読んだ。
この本で、京都西陣の優れた染色職人は、
色を2万通りに見分けたと書かれていた。


4569761216人生は自ら創る (PHP文庫)
安岡正篤
PHP研究所 2013-12-04

by G-Tools


ワインのソムリエが味の違いを舌で見抜いたり
フレグランスの調香師が、かすかな匂いを嗅ぎ分けるように
職人となって五感を研ぎ澄ませると
びみょうな差異にも敏感に「分ける」ことができる。

「分かる」とは「分ける」こと
という指摘もどこかで読んだ。
AとBの差異を感知できなければ「分からない」。
緑はただの緑ではない。厳密には、さまざまな緑に分けられる、

という観点から面白いとおもった本は
これも城一夫氏の本ではあるが、『色の知識』だ。


486152251X色の知識―名画の色・歴史の色・国の色
城一夫
青幻舎 2010-05-25

by G-Tools


名画の色、歴史の色、国の色として
さまざまな色のサンプルを提示している。
色とその時代、画家、国家の文化のコンテクスト(文脈)が
解説されている。

感覚的ではあるが、ぼくが歴史の色として
いいなと思った配色は時代の色だ。

まず、古代クレタの色。
ルネッサンス。
淡い色としてはトロピカル・デコ。

画家の色は迷うところだが
ヨハネス・フェルメールの配色は、あらためていいとおもった。
光にこだわった画家である。

そういえば画家のパレットを
公開している記事も読んだ。
パレットそのものがアートであり、絵画と通じる。

Photographic Portraits of Famous Artist's Paint Palettes by Matthias Schaller

ビジネスの側面から考えると
ブランドカラーは企業にとっては重要である。

IT関連企業の仕事が多かったのだが
どうもIT関連企業といえば「青」を使いたがる傾向が多い。

というのは「青」は理知的な印象を与え
クールだからだ。

しかしながら、あらためて考えると
「IT関連だから青でいきましょう」
と提案するデザイナーは、思考停止している気がする。
なーんも考えてないだろ?

ぼくも会社を立ち上げた当初は、
サイトの色を青を基調にしていた。

しかし、途中からオレンジ、イエロー、グレイを
基調にするようになった。

なんとなく選んでしまったのだが
分析すると(理屈を後付けすると。苦笑)
オレンジは生まれ育った静岡県の蜜柑の色であり
得意とするソフトウェアPowerPointのアイコンの色でもある。

要するに、何気なく選んだ色のなかに
これまで蓄積してきた人生と趣向が潜んでいたのだ。
センスというのはこういうものかもしれない。

もう少し意味付けをするならば
オレンジが持つ「あたたかさ」あるいは「陽光のような活力」を
自社のブランドカラーにしたかった。

理知的であったりテクノロジーに詳しいのは
ある意味、自分にとっては前提条件であると考えている。
当たり前なのだ。そうあることは必須。
だからこそ、その色ではない色を打ち出したかった。

また、オレンジはマンセル表の色相環で
180度反対側のブルーの補色になり、
IT系のブルーを引き立たせる色である
と考えることもできる。

とはいえ、PowerPointのプリセット色を利用していたが
あらためてきちんとブランドカラーの定義をしたいと考えた。

色について検索していて面白いと感じたのは
「PLUSCOLORn(プラスカラン)」というサイトだ。
自然界、人工物、CDジャケットなど
さまざまな色と配色を検索できる。


■PLUSCOLORn(プラスカラン)
http://pluscolorn.sub.jp/index.php
150615_pluscolern.png


また、日本の色については「和色大辞典」が参考になる。
緑といっても「萌葱色(もえぎいろ)」「翡翠色(ひすいいろ)」など
さまざまな名称があり、ブンガク的でもある。
色の名前を知っているだけでも、教養になりそうだ。


■和色大辞典
http://www.colordic.org/w/
150615_wasyoku.png


いろいろ色を検討した結果、
ソーセキ・トゥエンティワンのブランドカラーは
クレタ・オレンジ(R:241G:137B:1)
カドミュウムイエロー(R:255G:238B:71)
ゲインズボロ(R:220G:220B:220)
がいいかな、とぼんやり考えた。
しかし「何で?」という裏付けがいまひとつ。

むしろ和色の
蜜柑色(みかんいろ:R:240 G:131 B:0、C:0% M:45% Y:100% K:6%)
向日葵色(ひまわりいろ:R:252 G:200 B:0、C:0% M:21% Y:100% K:1%)
灰青(はいあお:R:192 G:198 B:201、C:4% M:1% Y:0% K:21%)
がわかりやすい気がする。
どこかのタイミングで統一したいのだが。

色は「色香」と呼ばれるように
セクシーなものでもある。

これは、ぼくの感覚に過ぎないが、
ダニエル・ピンクなどの著書から得た知識を下敷きに考察すると
これからの企業は論理的な側面だけでなく
「いかにデザインがセクシーか」ということが
求められるのではないか
、と感じている。

そういえば、Perfumeに
「MY COLOR」という名曲があったっけ。



ブルーカラーとか、ホワイトカラーとか
職業を色で表すこともある。
未来は灰色だと言ったりもする。

とはいえ、あなたの色は
たとえグレイだったとしても
みんなと同じ灰色ではないはずだ。

ちょっと青みがかっていたり
どこかしら暖色系が混じっていたり
グレイッシュパステルの
大人の華やかさがあるかもしれない。

2459b3974cc33d52e5efae2a4363a7c6_s.jpgちなみに、いまELジェイムズの
『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』の
上巻を読み終わったのだが
あまりに官能的なストーリーで
くらくらしている。

ロマンスグレイのおじさんというのも
憧れています。

グレイ(灰色)という名称だったとしても
そういう年齢の重ね方は、いいとおもう。

(外岡 浩)

サクラが咲いたかとおもったら散ってしまった。
短い命であった。

毎年サクラは咲く。しかし、
今年花をひらいたサクラは去年のサクラではない。
そして来年もまた違う花をひらく。

四季は繰り返される。
だが、一度として同じ風景はない。

風景は個々人の感情とともにある。
卒業式の日、あるいは入学式や入社式のときに見たサクラは
そのときの一回きりのものであっただろう。

人生は1日あるいは1分1秒が一回性のものであり
二度と同じ時間が繰り返されることはない。

刹那は繰り返されることがないから
せつない。

そのせつなさを抱えながら
ぼくらは先に進むしかない。

時間を巻き戻すことはできない。
人生にやり直しはない。
あるとすれば、まったく新しい人生をはじめることだ。

自分の人生を生きよう。ていねいに。

今年のサクラを記憶にとどめておくために
いくつかぼくの拙い写真を。


150406_sakura1.jpg

150406_sakura3.jpg

150329_yozakura_1.jpg


新入社員の姿に混じって
真新しいスーツに身を包んだ就活の学生をみかけるようになった。
なんとなくぎこちない所作も感じるけれど
真剣なまなざしが、いい。

就活に関しては、ちょっと古いのだが
こんな記事を読んだ。

経済の死角
「この国はきっと滅びる!就活のバカたち 学生もバカなら、面接官も大バカ」

もちろん実際に、そういう状況はあるだろう。
しかし、こんな記事を書いて煽るマスメディアがいちばん愚かだ。

批判だけで、どのような国にすればいいのか、
未来を構想する思想がない。空っぽだ。
だから「マスゴミ」と呼ばれるのだ。

こんな記事に同調したり、憤ったりしていることこそ
バカらしい。ゴミはゴミ箱にぽい、だ。

不安を感じるひとがいる。
そして、不安につけこんで食い物にするひとがいる。
さらに食い物にされて大金をはたいて、表層ばかり繕おうとする。

面接で「1億円もらったらどうしますか?」という問いをする企業が多いようだが
グーグルやマイクロソフトなど外資系の大手企業の面接で使われる
「全国にピアニストは何人いますか?」という
フェルミ推定のような論理的思考力を問う質問の
さるまね
だと考える。


4492555986地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」
細谷 功
東洋経済新報社 2007-12-07

by G-Tools


ところが、思考力を問うのではなく、
ただ夢を語らせるだけの内容になっているところが陳腐だ。
こんな質問をする面接官の低レベルさを
学生たちは失笑して構わない。

もし面接でこんな質問を出されたら
「御社は一流の企業だと考えて志望いたしましたが
そんなくだらない質問をされるとは思いませんでした。
失望いたしました。志望を辞退させていただきます」

といって、その場で席を立つぐらいでいい。

そんな面接をする人事担当者のいる会社は
たかが知れている。だいたい無能な上司がのさばっていて
仕事ができないのに雑談ばっかりしていたりする。

「おい、宝くじ当たっちゃったらどうする?」
みたいに仕事の努力は放棄して、ギャンブルみたいな夢ばかり
追いかけている会社だろう。

どんなに著名企業でも、そんな会社に勤めたら
人生のムダ遣いなので考えたほうがいい。
ブラック企業よりタチが悪いのは、大企業病に蝕まれた会社だ。

とにかく、自分が迷子になっているひとが多すぎる。
その迷子につけこんで、就活本やらセミナーやらで金を稼ごうとしたり
迷って悩んでいるひとに媚びて若者から人気を得ようとするような
ハイエナみたいな輩がわらわらと湧いている。

自分なんて探さなくても、ここにいるでしょ。

ぼくの私見に過ぎないが
述べておこう。

人生、あるいは就活において大切なことは
自分探しではない。他人探しだ。

部活やサークルでリーダーやっていましたとか
海外でいろいろと学びましたとか
そんなことはすべて「過去」の実績であり
クズみたいなものだ。

大切なことは、未来に何をしたいか、どんな人生を生きたいかということであり
そのヒントは自分ではなく他者、そして他人のなかにある。

抽象的でわかりにくいとおもうので
具体例を挙げてみる。

自己研究は最低限、過去の経歴の整理だけしておいて
志望先の「企業研究」および「業界研究」に注力するのである。

当然、社会経験のない学生たちには難しいだろう。

しかし、志望している企業で、
あなたたちは人生の大半(あるいはわずかであっても数日)を
費やさなければならない。

自分にふさわしい職場なのか?ということを
リスクも含めて研究する。

経験がないからこそ「想像力」が求められる。

企業のドメイン(主な事業領域)は何か。
業界全体において志望先企業のポジションはどこにあるのか。
志望先企業は成長性があるのか、安定性があるのか。
女性であれば子供が生まれても働けたり育児後に復帰できる環境にあるのか。
そんなことに想像力を働かせる。

尊敬する稲盛和夫氏は、新規事業や新製品の開発にあたって
寝ても覚めてもそのことを考え続け
完成形が「カラーで」見えるまで考え抜くことが
重要である
と説かれている。

KDDIの事業をはじめるときにも
「うまくいかない」という批判に動じずに
明瞭にイメージを描いたからこそ実現したと述べられている。

就活のために宴会芸みたいなスキルを磨いたり
芸能人みたいに写真加工で美白に注力していないで
自分ではなく、社会そして世界に目を開きなさい
と、ぼくは言いたい。

というのは、ぼく自身が狭い視野しか持っていないこと
無知であることを常日頃、深く自省しているからだ。

就活は
社会を知るためのいい機会だ。
もちろん内定を取ることは大切なことだが
内定がゴールではない。
そこからハードワーカーとしての長い長い生活がはじまる。

だから、社会を知るチャンスとして就活を
「利用」しちゃえばいい。

社会に出ると当然、競合他社を訪問することなんて難しくなる。
ところが、就活の時期なら縦横無尽にさまざまな企業に出入りできる。
それぞれの企業を訪問して感じたこと
面接官がお話いただいたことは
大きな「学び」となるはずだ。

「知性とは、どんなにつまらないものからも
ダイヤモンドをみつけだす能力」

ともいえる。

あなたが訪問先企業をつまらないと感じたら
もしかすると、あなたがつまらない人間だからかもしれない。
自分の感性が劣化しているのか、ほんとうに訪問先企業がつまらないのか
そのことを深く考えるだけでも成長の契機になる。

018_s.jpg大学を卒業したら勉強はおしまい、
というのは大きな間違いで
実はそこから勉強は、はじまる。

社会人として、日本人として、
世界の一端を担うひとりとして。

人生は、学びの連続だ。
無知であり続ける限り成長もある。

就活する諸君にエールを送りたい。

うまくいくといいね。
でも失敗しても、きっとあなたは大丈夫。

(外岡 浩)

法人、つまり株式会社としてソーセキ・トゥエンティワンを設立したのが
2013年3月21日。もうすぐ2年目を終え、3年目を迎える。

会社名がトゥエンティワンなので21日にこだわりたかった。
そのためだけに法人登記を急いだのであった(笑)

4月21日でもよかったんだけど
「3・2・1・GO! 」みたいな日付で、なんか気持ちいいじゃないですか。
いま考えると何も考えてなかったなあ。ノリだけだ。

ぼくは「起業しよう!」とおもって会社を設立したわけではない。
起業せざるを得ない状況にあったからだ。

当時、ぼくは失業者だった。
30社以上の企業に履歴書を送付して
ことごとく落ちた。絶望的だった。

家入一真さん的にいえば「居場所」がなかったわけだ。
しかし「居場所がないなら居場所を創ってしまえ!」ということで
精神的に追い込まれた状態で
活路を見出すべく創った会社だった。

会社を創るってどういうことかな?
ということを一生のうちで一度、
経験してみるのもいいか、とも考えていた。

とりあえずスタートは
個人事業主でもよかったのかもしれない。
当時その選択肢は眼中になかったけれども。

多くの中小企業は、3年以内にその8割が廃業する。
そんなことを本で読んだ記憶がある。

何とかしなきゃ!で創った会社だけれど、
最近は思い入れが強くなって、何とか存続させなきゃ!と
考えるようになり、いま融資を視野に入れつつ
税理士さんのアドバイスをいただきながら
事業計画書などを書いている。

痛感するのは
自分には起業家とか経営者のセンスってないかもなあ(涙)
ということだ。いやはや、まったく。

最近、為末大さんの『諦める力』という本を読んだ。


4833420481諦める力 〈勝てないのは努力が足りないからじゃない〉
為末 大
プレジデント社 2013-05-30

by G-Tools


為末さんは陸上競技のアスリートで
100メートル走という陸上の花形を諦めて
あえて400メートルハードルという分野で成果を出した。

「諦める」は仏教では「明らめる」であり
自分を客観的に見据えるポジティブな考え方であるという。

努力しても叶わない世界がある、と為末さんは言う。
であれば、戦わずして勝つ世界で勝負しろ、と。
マーケティング的にはブルー・オーシャン戦略かもしれない。

とはいえ、努力せずに諦めるのは、いかがなものかとおもう。
安直すぎるじゃないですか。

努力だけでなんとかなるほど世間は甘くない。
企業法人の維持、経営には才能が必要ということは
誰に言われなくとも重々感じている。

しかし、センスや才能がないなら、みっともないほど愚直に努力して
それでもダメなら諦めるしかないけど、いまはまだその段階ではなく
足掻けるだけ足掻いてみようと考えている。

そんなわけで、事業計画書に
ぴりぴりと敏感になっている昨今。

ふと目に飛び込んできて、これはすげー!とおもったのが
大塚家具の社長、大塚久美子氏の中期経営計画だ。

実の父親との確執で話題にもなったようだが
久美子氏が中期経営計画を発表した後に、
株価が急騰したことでも話題になった。

と、話題を振っておいて脇道に逸れます。

スケールがちいさくなるけれど
「企画書の書き方、プレゼンの仕方」について再確認したい。

企画書には基本的な構成がある。
例えば、プロモーションの企画書であれば次のような感じだ。

01.与件の整理
02.市場背景、外部環境の分析
03.製品またはサービスの強みと弱みの整理
04.基本戦略、企画の方向性
05.ターゲット
06.コンセプト
07.プロモーションの全体構造
08.具体案
09.運営体制
10.展開スケジュール
11.概算予算

2と3はいわゆる「SWOT分析」と呼ばれるもので、
多くの場合、企画書の構成は上記を網羅して作成される。
事業計画書については、また少し違ってくるのだが。

場合によっては戦略的に
最初に予算を持ってきちゃうとか、
いきなりコンセプトからはじめちゃうとか
奇を衒った構成もあり、である。

結局何なの?と早急に知りたいスティーブ・ジョブズみたいな(笑)
お客さまの場合は結末から語るのがいい。
ただ、日本企業の場合、演繹的に説得するのが一般的だろう。

また、前半部分は一方的に語るのではなく
「こういうことでしたよね?どうおもわれます?」
と相手と対話(コミュニケーション)する場としても必要になる。

一般的にプレゼンは、プレゼンテーターが
一方的に提案するものと考えがちだ。

ところが実は一方的に聞かされているだけのお客さまは
フラストレーションをためていることがある。
お客さまだって話したい。
そこで、最初にお客さまと対話することが大切だと考える。

また、前提部分で納得していただければ
スムーズに企画に同意いただける。

「いや、そうじゃないんだけど」と否定された場合は
その後の企画の持っていき方を、即興でアレンジしなければならない。
ただ、後者の場合、お客さまの理解が不完全だったということで
プランナーは反省すべきでもある。

プレゼンは、コミュニケーションなのである。

だいぶ脇道に逸れました。
ええと、大塚家具の中期経営計画の話でした。

この中期経営計画が優れているのは
分析から具体案の施策まで一貫して戦略が先鋭化され
さらに組織体制の布陣も明確化されていることにある。

分析・施策・組織体制の部分を
公開されているPDFから見ていきたい。


1.分析

第一に日本の家具消費トレンドが
「まとめ買い需要」から「単品買い需要」に推移していることを指摘。

h27-2-25_Page_05.png

新築住宅の減少という外部環境も分析に入れている。

h27-2-25_Page_08.png

一方で内部環境の分析として、販売スタイルやブランディングが
「接客に抵抗がある」「高そう」という課題を抱えていることにも触れる。

h27-2-25_Page_06.png

そして、市場構造の変化をIKEAやニトリという競合と比較して
ポジショニングし、中価格帯に再流入する見込み客を
得るべきであることを強調する。

h27-2-25_Page_09.png


2.施策

上記の背景の分析を踏まえて、施策に対しては2つに注目した。

第1は、大型店の出店を「北海道」「千葉」「大阪・梅田」という
商圏人口がありながら出店がない地域に絞り込むこと。
ランチェスター戦略でいえば、局地戦だ。

h27-2-25_Page_12.png

第2は、ユニークな専門店の設置。
住のなかで眠りに特化した「Good Sleep(ぐっすり)Factory」は
ネーミングも秀逸であるし、ぼくも行ってみたいぐらいだ。
照明に特化した「Lightarium-ライタリウム-」は
プラネタリウムにかけた造語だとおもわれるがセンスがいい。

h27-2-25_Page_13.png
※著作権等を考慮し、イメージ画像は削除しました。


3.組織体制

このような施策を実行する組織として
社外取締役と監査役の候補のスキルセットをマトリクスで表している。
ダイバーシティも考慮して、9人のうち2人は女性だ。
個人的にはもっと女性役員を増やしてもいい気がする。

h27-2-25_Page_25.png

大塚久美子氏の中期経営計画は見事だとおもった。
感動した。

しかしながら、お客さまとの打ち合わせのときに
雑談でお話ししたところ別の視点もいただいた。

久美子氏は新築需要が減っていることを挙げているが
そのお客さまのご友人が新築の時に、家具を選んでいて
ものすごく悩まれたそうだ。

照明はいろんなものがあり過ぎて、何がよいかわからない。
しかし、大塚家具に行ってショールームをみて
「こんな感じの部屋がいい」と社員に希望を伝えると
その通りにコーディネイトしてくれるので非常に便利だという。

そんなトータルコーディネイトができる家具屋さんは
大塚家具しかない、とのこと。

そこで考えたのだが、久美子氏が徹底的に攻撃する
親父さんの経営戦略にも、あながち問題ばかりじゃない。
そのサービスに感謝しているお客さまもいる。

なので僭越ながら考えたのは
「父親と娘で経営のことで親子喧嘩なんかやめて和解して、
大塚家具は、親子双方の経営者の良さを
共創的に経営に生かしたらいいんじゃないか」
ということだ。

ひじょーに余計なお世話ですが。

+++++

ビジネスは人間が行うものである以上、
論理だけでなく、感情など
複雑な文脈(コンテクスト)が絡み合う。

教科書やマニュアル通りに
いかないものであり
正解も、ない。

独立なんかしないでサラリーマンがいいよ
といわれたら、その通りだとおもう。
いまを生き延びることでせいいっぱいで
現在、ぼくには余裕がない。

しかし、自分の会社を立ち上げることで
とてつもない学びがあった。
自由も感じている。
ささやかだけれど、しあわせでもある。

人生、楽しんじゃったもの勝ちだ。
挫折も失敗も恥も
楽しさの一部。

さて、仕事でもしますか。
深夜なんですけど。


150307_image.jpgぼくにはワークライフバランスなんてない。
どこから趣味で、どこから仕事なのかもわからない。
18時間ぐらい働いていることもあるから
とんでもないブラック企業ともいえる(笑)

しかしながら、
いま充分に満足しているし
ハッピーだったりする。
それでいいや、とおもっている。
いや、それがいいな、と。

人生はみずから選ぶものであり
このツラさも楽しさも自分で選んだものだ。

(外岡 浩)

2015年が幕を開けた途端、風邪をひいてしまった。

晴天の霹靂というか、
夕飯の買い出しに出て戻ってきたところ、
まず、くしゃみが止まらなくなった。

20発ほど連続しただろうか。
はーなんだこりゃと、くしゃみの嵐がおさまったところ
ぼくは風邪のひとになっていた。

高熱っぽい。喉が痛む。
しかしながら手元に体温計がないから
どれぐらい熱があるのか、まったくわからない。


Screenshot_2015-02-05-04-38-19.pngのサムネール画像発熱といえば、だ。
手持ちのスマホがすぐ「発熱」するのである。

「CLEAN MASTER」という
ユーティリティアプリを入れているが
気が付くと「57℃ 内部温度が高すぎます」と
叱られてしまう。

あまりに高温になりすぎると機能が制限されるようで
夏場には、写真を撮ろうとしたら
筐体が高温すぎて
カメラ機能が使えないことがあった。

布団に寝込みつつ
携帯電話を脇にはさんだら熱が測れたらいいのに
と、おもった。しかしながら、そういうセンサーを
搭載した機種はいまのところないようだ。

しかし、いずれはそんなこともできるようになるかもしれない。

4月には登場すると言われている
Apple Watch」をはじめとして
ガジェットやアプリによるヘルスケア機能の充実がめざましい。



Apple Watchでは消費カロリー量の目標を示したり
加速度センサーにより運動量を測定できる。

また、座りっぱなしの場合は立ち上がるように警告もしてくれるようだ。
きっと座って仕事ばかりしている自分は警告されまくりだ。
心拍センサーも組み込まれている。

こうしたヘルスケアのガジェットは
ナイキ「FUELBAND」のヒットに発端があったのではないか。


B00GKU17TCNike+ fuelband SE ナイキフューエルバンド SE ブラック/ボルト [並行輸入品]
Nike

by G-Tools


FUELBANDは、特にランニングやウォーキングをするひとたちに愛用され
BluetoothでiPhoneにデータを送信して管理できる。

デバイスのテクノロジーが進化したこともあるが、健康を自己管理する動向は
「クォンティファイド・セルフ(Quantified Self:QS)」として
注目されているらしい。

体調は、ほんらい目に見えない。
その目に見えない体調を数値化することによって
自分で管理しようという動きである。

ただ、2014年02月20日、Newsweekのサイトに掲載された
瀧口範子氏のコラムでは数量化トレンドに警鐘を鳴らしている。
(「ウエアラブルは何のための存在か」)

ウェアラブルデバイスによる体調管理は
ランニングやウォーキングの趣味の世界で活用されるだけでなく
もっと多様な活用が考えられるはずだ。

2015年1月22日のWIREDの記事でも
高齢化社会や慢性疾患に悩む患者のための医療分野で
活用されるべきではないか?という提言があった。
(「「ウェアラブル」業界は、届けるべきターゲットを見誤っている」)

最先端のガジェットとはいえないかもしれないが
聴覚に障害を持つ方のためにインターフォンや電話、ファックスが届いたことを
振動で伝える腕時計「シルウォッチ」という製品もある。

この製品を開発された85歳の齋藤勝さんの話を
Eテレの「ろうを生きる難聴を生きる」という番組で
興味深く視聴した。
(「安心を届けたい-音を知らせる腕時計-」)



ところで、ぼくが最近携わった仕事に
JUKI株式会社様(東証1部上場)が販売代理店として扱っている
「ドライブリズムマスター」の動画制作
ならびにパンフレットやSPツールの制作がある。

この製品は、ドライバーの事故防止や安全運転のために
シートに取り付けたセンサーが、心拍数などから
自律神経と副交感神経の動きを測定する。

そして眠気の予兆、集中力の低下などを
カーナビのような「体調ナビ」で音声とキャラクターで
教えてくれるユニークな装置だ。

以下、ぼくが制作に携わった紹介映像をYouTubeから。



企画構成・シナリオ作成、総合ディレクションはソーセキ・トゥエンティワン、
映像撮影と編集はヒューマンセントリックス様にお願いした
共同制作である。

自分で携わった仕事を紹介すると
「ステマだ」とか言うひともいるかもしれない。

しかし、ぼくは自分が仕事に携わる場合、
どのようなクライアント様や製品であったとしてもまず
「企業や製品を理解し、惚れ抜くこと」
が大切だと考えている。

最初は、正直なところピンとこなかった。
しかし担当者様の熱い説明を何度もヒアリングさせていただくうちに
「これって凄いかも!いや、こういう製品こそ社会に必要だよね!」
という想いに変わった。

ぼくはドライブリズムマスターに惚れ込んでいる。

IT業界でウィルス対策ソフトのプロモーションを考えていたときにも感じたが
たいてい、こういうリスク管理の製品の宣伝は「脅し」が多い。
事故が起きたときの危険性を煽って導入を促す。

しかし、ほんらいであれば
伝えるべき大切なメッセージは、利用者の安全にある。

ムリな運行を避けて、休憩をとるべきときにしっかり身体を休めたり、
運転を交替してもらったり、安全な運行管理をすることが大切。

ドライバーの体調をベストコンディションに維持するために、
自覚はないけれど身体が発しているサインを教えてくれることが
この製品の果たす役割である。
決して眠いドライバーを叩き起こしたり、
疲れているのにムリして働かせる強制労働の装置ではない。

北風と太陽の寓話があるが、脅しではひとの心は動かないことがある。

制作した映像では、きれいなナレーターの女性に
「毎日のお仕事お疲れさまです」とか
「健康に気を付けて行ってらっしゃい」というような
ドライバーの体調をいたわる言葉を
語りかけていただいた。

脅されるよりも、こういうコトバのほうが
数倍うれしいじゃないですか。
そもそも、ぼくが言われたい(笑)

結局のところ、テクノロジーは
ひとをしあわせにするためにある。

もちろん、ランナーの体調測定も大事だろうが
運転事故を未然に防いだり、高齢者や慢性疾患の方に注意を促したり
聴覚や視覚に障害のある方が快適に生活できるように
テクノロジーは活用されるべきではないか。

ぼくは、たかがコンテンツの企画・制作会社(というかひとりだけど)
のプランナーやディレクターに過ぎない。

しかし、コンテンツを通じて
社会に何かあたたかい贈り物をしたり
製品のよさを最大限に伝えることができれば、と考えている。

コンテンツ・マーケティングとよく言われるけれど
アクセスを集めるためだけのおちゃらけた映像や
バラエティ番組のようなウェブサイトや
クラウドソーシングの在宅ライターに
1件300円などの超低コストでウェブで収集した情報を
再利用して大量に文章を書かせることが
コンテンツ・マーケティングかというと
正直なところ違うとおもう。

そういうもんじゃないでしょ、コンテンツ・マーケティングは。

e826de6d8b36949f264c57240e026059_s.jpgコンテンツには可能性がある。

ひとつのコンテンツが、
社会や世界を変えることができるかもしれない。
新しい文化を生み出せるかもしれない。

そのためにはクリエイターは
時代の動向に感性のセンサーを働かせなきゃいけない。
「面白けりゃOK」
「炎上してもアクセス上がればOK」のような
志の低い稚拙な発想に留まっていてはいけないとおもう。

などというようなことを考え、コンテンツを創るものとして
ぼくはあらためて矜恃を正すことにした。

高熱でふらふらしている日曜日の午後に。

(外岡 浩)

京セラおよびKDDI(旧・第二電電)の創業者である稲盛和夫氏は数々の著書を出されていますが、多くの著書の内容は重複しています。ほとんど同じことを繰り返し述べているといっていいでしょう。しかしながら、その言葉は決して重複しているから退屈ということはなく、読むたびに深く心に染み渡ります。6月に集中して5冊あまりの著作を読んだのですが、稲盛氏の思想に学ぶところがたくさんありました。

稲盛氏の仕事観と人生論は、ひとつの方程式に集約されます。
それがタイトルに掲げた「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」です。
どういうことなのか、実際に検証しつつ紹介してみますね。

この方程式の前提として「考え方」はマイナス100からプラス100までの値、「熱意」「能力」は1~100までの値とします。

いま、平均的な能力50と平均的な熱意50の池田さん(仮名)がいるとします。

スライド1.PNG

Aさんが平均的な考え方をすると、50×50×50で人生・仕事の結果は12万5,000となります。

スライド2.PNG

ところが、高平さん(仮名)は熱意も能力も池田さん(仮名)と同じ平均的な50 の力があるのに、組織に不満があったり、仕事を批判的にとらえたり、とにかくネガティブ思考で、考え方がマイナス50だとします。

スライド3.PNG

するとどうなるか。マイナス12万5,000の結果になってしまいます。

スライド4.PNG

稲盛氏の解説によると、なまじ熱意や能力が高かったとしても、考え方がネガティブであれば、熱意や能力があるからこそ正反対の残念な結果になってしまうということです。

よくいるタイプだとおもいました。かつて会社に努めていたときの自分もそうだったかもしれません。能力はともかく、熱意だけはあったと自負しているのですが、ネガティブ思考に転じてしまうと、逆に熱意がマイナスのベクトルに働いてしまうんですよね。

さらに、山本さん(仮名)は能力は25 しかないのですが、自分にスキルがないことをしっかりと自覚しています。そこで卑屈になることはなく、自分に能力がないからこそ普通のひと以上の75の熱意を持ち、素直で前向きな75の考え方を持っていたとします。

スライド5.PNG

計算すると、Cさんの人生・仕事の結果は14万625になります。つまり平均的なAさんよりもすばらしい結果を残すことができる。

スライド6.PNG

もちろんこれは普遍的な方程式ではなく、稲盛和夫氏の「哲学」を数式化したものです。平凡な人が最大の結果を出すにはどうすればいいのか、ということを考え抜かれて考案した方程式だそうです。この方程式のポイントは次の3つではないでしょうか。

①能力はなくてもかまわない。

「スキルがないから」とか「才能がないから」という理由で人生や仕事を諦めてしまうひとがいます。けれども能力はなくてもいいのです。熱意もしくは考え方でカバーすればいいのですから。

「熱意」がないと感じたひとは、まずは眼前の仕事や日々の生活に没頭してみることです。たとえば、歯を丹念に磨くでもいい。あるいは、挨拶だけは大きな声でしっかりするでもいいのです。そういう「人間の基本」を愚直かつ誠実に遂行することによって、人生が好転することがあります。

②熱意は大切。

稲盛和夫氏は、人間には3種類のタイプがいるといいます。第一に「可燃性」、第二に「不燃性」、第三に「自然性」のタイプです。

「可燃性」というのは誰かから指示を受けたら熱意やモチベーションを高められるひと。「不燃性」は、何か指示されても熱意を燃やすどころか消してしまうような冷めたひとです。クールといえば聞こえがいいかもしれませんが、「そんなの無駄だよ」とか「それって前もやったことがあったけどダメだったよね」などと発言して組織全体の士気を低下させるようなひとでしょう。

「自然性」のひとは誰から何も言われなくても、自発的にモチベーションを高められるひとです。自律的といってもいいかもしれません。自分で課題を発見し、目標を定め、困難に立ち向かっていける人物のことをいいます。

稲盛氏は、自然性のひとであれ、ということを述べています。「モチベーションが上がらない」と愚痴るひとがいますが、正確には「モチベーションを上げられない」というべきであり、みずからを燃やすことができないのは自分に原因があります。ひとから指図されて燃えるのは「可燃性」の人であり、もし自分の人生や仕事で結果を出したいとおもうのであれば、自ら燃える「自然性」の人であることが必要です。

③考え方が人生と仕事を大きく左右する。

考え方の値はプラスからマイナスまでありますが、方程式が掛け算である以上、この値が大きく結果を左右します。稲盛氏が強調されているのは「正しい」考え方です。この正しさとは、世代が変わったとしても正しいと認識されることであり、「天」つまり神様が認める正しさです。決して私欲から生じた正しさではあってならないとします。

「考え方」は「哲学」といってもいいかもしれません。通常、哲学というと、どこか日常生活からかけ離れた役立たないものという認識がありますが、稲盛氏の哲学は実践的なものであり、単なる概念の戯れではありません。このような実践的な哲学を持つことは大事です。

企業において哲学とは「経営理念」といえるでしょう。ジェームズ・C・コリンズ/ジェリー・I・ボラスによる『ビジョナリーカンパニー』では、持続的に価値を生み出す企業の条件として「基本理念」の重要性を説いていますが、しっかりとした哲学を軸に据えた企業は事業がブレないものであり、企業ブランドとしての信頼性も高いといえます

・・・

稲盛氏の方程式から3つのポイントを確認しました。もうひとつ大事なことは、「人生」と「仕事」がリンクしているということ。「仕事」を通じて人間性を高めて、結果として人生を豊かにしていくことが稲盛氏の思想の根源にあります。

「仕事なんて稼ぐための手段だよ」とか「ブラック企業ばかりの時代に社畜になってあくせく働くのは馬鹿じゃね?」という考え方もあるかもしれませんが、要はそういうマイナスの考え方をしていれば自分の人生をマイナスに導いて、勝手に自滅するだけです。

自滅しても構わないのであればマイナス思考に拘泥していればいい。
しかし、自分の人生を誠実に生きようとするのであれば、稲盛和夫氏の方程式から学ぶことはたくさんあります。

■参考図書

4763195433生き方―人間として一番大切なこと
稲盛 和夫
サンマーク出版 2004-07

by G-Tools

4837923100働き方―「なぜ働くのか」「いかに働くのか」
稲盛和夫
三笠書房 2009-04-02

by G-Tools

B00799SNAO心を高める、経営を伸ばす (PHP文庫)
稲盛和夫
PHP研究所 1996-05-31

by G-Tools

4822740315ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則
ジム・コリンズ ジェリー・I. ポラス 山岡 洋一
日経BP社 1995-09-29

by G-Tools

(外岡 浩)

傾聴の技術。

ライターあるいは編集者とマーケターに共通する必要なスキルがあります。「取材力」といってもよいのですが、「傾聴の技術」です。

仕事によっては取材をしないライターや編集者もいるかもしれませんが、情報感度を高めるという意味から情報に耳を澄ます力は必要です。「情報に耳を澄ます」は比喩的な表現ですが、ノイズにまみれた情報をフィルタリングして大切な言葉を逃さないようにすることは、まさに「耳を澄ます」行為ではないでしょうか。

「傾聴」は、カウンセリングやコーチングのコミュニケーションスキルのひとつでもあり、漠然と相手の言葉を耳に入れて「聞く」のではなく、ひとつひとつの言葉や相手が何を伝えたいのか真摯に「聴く」ことです。同じ「きく」であっても「聞く」と「聴く」には大きな違いがあります。

聴き取るのは、相手の話す言葉だけではありません。ノンバーバル(非言語)のコミュニケーションとして、身振りや目の動き、表情などを読む(=聴く)ことも大切です。つまり傾聴にあたっては、身体全体を耳にして相手の情報をキャッチすることが求められます。

マーケターに「取材力」や「傾聴の技術」が求められる場面としては、グループ・インタビューやデプス・インタビューと呼ばれる消費者に対する調査の場が代表的なものといえるでしょう。

グループ・インタビューは少人数による座談会形式の調査です。定量的なアンケート調査では発見できない課題の発見などを目的として実施されます。

デプス・インタビューは1対1の調査であり、デプス(depth)という言葉があらわす通り、ひとりの消費者の深層心理を深く探っていきます。消費者に対する理解を深め、インサイト(洞察)を見出すことが目的です。このとき心理学の知識やコミュニケーションに関するノウハウが求められます。

学習院マネジメントグループ監修による『買い物客はそのキーワードで手を伸ばす』では、ハウス食品のシチューに関するデプス・インタビューを事例として、インタビューフローの作成から実際の質問例まで紹介しています。具体的でわかりやすく、とても参考になる本です。


4478014760買い物客はそのキーワードで手を伸ばす
学習院マネジメント・スクール[監修] 上田隆穂/兼子良久 星野浩美/守口剛
ダイヤモンド社 2011-11-26

by G-Tools


この本では、デプス・インタビューでしてはいけないこととして次の6つを挙げています。

① 誘導をしない
② 沈黙をおそれない
③ あいまいな言葉を無視しない
④ 圧迫感を与えない
⑤ 内容が脇道にそれても無理に軌道修正しない
⑥ 非言語的な表現を見逃さない

デプス・インタビューで気を付けなければならない6項目は、ライターや編集者の取材スキルとしても重要なことかもしれません。

取材の際には通常、質問項目を用意するものですが、事前に仮説を組み立ててインタビューを行うと誘導尋問のようになり、結果としてステレオタイプな記事ができあがります。お金を稼ぐことが目的で定型的な記事ばかり安易に生産する「原稿生産工場」であればそれでもいいかもしれませんが、読者に訴えかける深い記事を書こうとするならば、取材相手のなかにある深層心理にまで迫ったほうがよいでしょう。分かりきったことを記事にするよりも、新たな発見を書き起こしたほうが意義があります。

ところで、マーケティングの一領域に「テレマーケティング」があります。要するに「電話による見込み客の発掘」です。

通常、新規開拓営業の電話というと「売り込み」あるいは「御用聞き」と考えるのではないでしょうか。しかし、どちらも効果がありません。

というのは、セス・ゴーディンの言葉を借りれば土足マーケティングというように(彼はこの言葉を従来の広告に対して使っていましたが)、多くの人は、ずかずかと土足で踏み込まれて欲しくもない商品を売り込まれたくないものです。あるいは、「何かお手伝いできることはありませんか?」と漠然と御用を訊かれたとしても困惑してしまうのではありませんか。

テレマーケティングでは、問い合わせの電話であるインバウンドコールに対して、新規営業開拓のための電話をアウトバウンドコールといいます。どちらの電話についても「スクリプト」と呼ばれるシナリオを用意します。要するに、お客様に合わせてスムーズな話ができるように回答を想定し、その答え方と導き方を文章化するわけです。

ソーセキ・トゥエンティワンでは、アウトバウンドコールを「売り込み」ではなく「電話取材」であると考えています。

したがって、商品を売り込みません。

電話をおかけしたお客様の話を「傾聴」し、いま困っていること、力を貸してほしいことの発掘に注力します。特に新しいテクノロジーの分野では明確に需要が存在していることはありません。新しい市場が存在するかどうかという可能性からまず把握する必要があります。だからこそ、強引な売り込みではなく、お客様のなかに潜んでいる気持ちを掘り起こすことが大切なのです。

電話取材なので、聴き取った情報は詳細なレポートとしてフィードバックします。これは、原稿執筆や編集の経験があるからこそできることです。また、取材の前に情報収集が欠かせないように、アウトバウンドコールの前には、市場動向や請け負わせていただいたクライアント様の製品やサービスに対する理解に時間をかけます。というのは、製品やサービスの理解なくして、お客様の需要を掘り起こすことはできないと考えるからです。

マーケティング×ライティングの実績があるソーセキ・トゥエンティワンでは、傾聴の技術を重視し、お客様の需要を掘り起こすアウトバウンドコールを行っています。場合によっては、お客様の課題に合わせた企画をご提案することも可能です。お気軽にお問い合わせください。ご相談は無料です。

(外岡 浩)

広告業界のアドマンのバイブルとして親しまれているジェームズ・ウェブ・ヤングの『アイデアのつくり方』は100ページほどの薄い本ですが、この本で著者は「アイデアは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」と断言するとともに、「既存の要素を新しい一つの組み合わせに導く才能は、事物の関連性をみつけ出す才能に依存するところが大きい」と述べています。


4484881047アイデアのつくり方
ジェームス W.ヤング 竹内 均
阪急コミュニケーションズ 1988-04-08

by G-Tools



また、創造的発想のために組み合わせを多く作るには、まず膨大な資料を収集することが重要であると主張しています。つまり知識や情報の引き出しが必要であり、組み合わせる要素が多いほど、たくさんの組み合わせ=発想ができるということです。

インプットなくしてアウトプットはできません。

発想あるいは文章を書くことは、インプットとアウトプットによる「呼吸」のような活動ではないかとも考えます。息を吐いてばかりでは苦しくなってしまう。だから新鮮な空気を吸い込むことも必要です。

いまぼくは原稿を書きながら、書棚にある本を片っ端から引っ張り出して情報を集めたり、インターネットで検索をかけたりしています。プランナーもしくはアイデアマン、そしてライターであるためには、リサーチャーのスキルも必要です。

とはいえ、なかなか効率的な情報収集はできないのですが、情報収集のコツは「直感」にあります。

この辺りを掘ったら金鉱が出てきそうだという勘どころが、結構大事だったりするものです。では、その直感を身につけるにはどうすればいいかというと・・・・・・これはもう日頃から感性を磨く努力をしておくしかないですね。ローマは一日にして成らず。手間暇をかけずにうまくやろうとしても、そんな要領のいいことはできません。

発想の技術としては、ひとつのキーワードを多様に展開することが重要です。展開方法としては、大きく分けると次のような方法を考えました。

①否定
②同義語・類推
③対義語

たとえば、「いまソルティ(塩味)な商品がブームになっている」というキーワードがあったとします。このキーワードを上記の発想のフレームに当てはめると次のようになります。

①塩味はブームではない。
②塩麹が流行っている。ソルティライチ、ソルティレモンという商品がある。
③甘いもの、辛いものが流行っている。

対義語はちょっと厳しいかな、という感じですが、「感性の時代」というキーワードがあったとすれば「論理の時代」というキーワードを生み出すことで発想を広げます。

要するに仮説思考で考えるということで、合っているかどうかは気にしないでください。ブレインストーミングの要諦として、アイデアを否定しないということがありますが、思考のフレームを道具として使い、とにかく発想をストレッチするわけです。

もう少し踏み込むと「レトリック的発想法」もあります。

レトリックは修辞技法と呼ばれる文章の表現技術ですが、これを発想に応用します。やや専門的になりますが、レトリックの一部には次のようなものがあります。

①直喩(シミリー):「~のように」と明示する比喩。
②隠喩(メタファー):明示しない比喩。
③換喩(メトニミー):属性などで代用する比喩。
④提喩(シネクドキ):全体と部分、上位概念と下位概念を置き換える比喩。

よくわからないですね。例えば「リンゴ」を使って、上記の比喩による例文を挙げると次のようになります。

①直喩:夕焼けの色のようなリンゴ。
②隠喩:リンゴのほっぺた。
③換喩:リンゴのコンピュータ(アップルのMacintosh)。
④提喩:秋の味覚を食べる。

最もわかりやすい比喩が直喩で「のような」という言葉を使っています。

隠喩の例は、頬の赤さをリンゴに喩えていて、このときに「リンゴのような」とすると直喩になりますが「のような」を使わない隠喩はより洗練された表現になります。

換喩は、ロゴマークを製品に置き換えています。「村上春樹が好きだ」という表現も換喩で、厳密にいえば村上春樹の小説が好きだということですが、作者で作品を置き換える表現になっています。

提喩は、「秋の味覚」といえば梨やぶどうや栗などもありますが、その全体を表す言葉でリンゴという個別なものを表現しています。

このレトリックをどのように発想に応用するかというと、例えば色や匂いなどの属性で異なったものを結びつけたり、全体を部分で置き換えたりすることで発想を拡げることができます。

例として村上春樹さんを挙げましたが、彼の小説はレトリックの宝庫です(という表現も隠喩:メタファーなのですが)。文学に親しむことも発想を拡げて感性を磨くためのエクササイズになります。

KJ法など発想法の古典的な手法もありますが、手法も大事だとはいえ、とことん考え抜くことが発想力を鍛えるためにはいちばん大切なことかもしれません。

哲学者や発明家には、寝食も忘れて考え抜いたあと、ふっと気が抜けた状態のときにアイデアが生まれるというエピソードが多くあります。トイレやシャワーを浴びているときに、ひらめくことが多いようです。緊張と弛緩のほどよい関係の中からよいアイデアが浮かぶのかもしれません。

(外岡 浩)

折れない心。

窓の外には夏らしい青空が広がっています。爽快感に溢れた朝です。
ブログではお久し振りです。みなさんいかがお過ごしでしょうか。

個人ブログのほうの更新も止まっていますが、日々生きるのにせいいっぱいでブログどころではありませんでした。けれども、短い文章ですが考えたことをエントリにしていきたいと思います。ふたたびブログをリスタートします。

3月に会社を立ち上げてから、おかげさまでさまざまなお仕事をさせていただきました。
次のような仕事があります。

  • 47都道府県のある業界のマーケティングデータ集計とグラフ化。
  • ブログ記事の執筆。
  • PowerPointのテンプレートデザイン(約100件)。
  • 大手IT企業様のEAI製品のホワイトペーパー原稿執筆とIllustratorによるDTP。
  • ビジネスムック向けに大手不動産会社様の取材および原稿執筆と写真撮影。
  • 事業案内サイトのコンテンツ原稿執筆とWordpressによる更新作業。
  • プレゼンテーション資料作成(スライド80枚程度)とスピーチ原稿執筆(2万8,000文字)。

いずれもフリーランスのライターのような仕事が中心で事業とはいえませんが、まずはいただいた仕事を実直にこなしていくことに注力します。そして、最終的にはコンテンツマーケティングのビジネスにつないでいくことができればと考えています。要するに良質のコンテンツを制作できる実力を蓄えて、そのコンテンツを使ったマーケティング支援を手がけていきたい、ということです。進行中ですがテレマーケティングの案件もあり、パーツとして散在している仕事をつなげていくことができればいいですね。

ところで、いま手がけているのは1ヵ月で10万字の原稿を書き上げるビジネス書籍の原稿執筆です。先月は3万字ほどの文章を書き上げたのですが、さらに未知の領域に挑戦しています。この途方もない原稿執筆を達成するためにはライティングの速さや技術も大事ですが、何よりも大事なのは、

「折れない心」

だとおもいました。

どんなに優れた文書作成の技術があったとしても、心が折れてしまったら戦闘不能になります。だからプレッシャーに負けない強靱な心がほしい。

いきなり長距離のマラソンに挑戦しても無理であるのと同様に、日頃から走り続ける努力をしている必要があります。自分に関していえば、長文のブログを書き続けてきたことが大きな下積みになっていると感じました。

膨大な時間を費やして長文のエントリを書いて、こんなことやって何になるのかな?と疑問を感じたこともありましたが、仕事を終えて帰宅して日付変更線が変わるあたりの時間、あるいは日曜日の静かな午前中に、読了した本の感想をはじめとして、映画のこと、音楽のこと、仕事や人生のことなど、いろいろなことに思考を巡らせて無駄に長文のブログを書いていた時間があったからこそ、10万字の原稿執筆もできそうだという自信があります。

ブログは無償のいわば自己投資でしたが、結果として文章でお金をいただけるようになりました。手がけているビジネス書籍は完全に受託仕事で、自分の名前が出ることはないのですが、名前が出ようが出まいが自分が書いたものには変わりがありません。そして書きためたものが自分を成長させる糧になります。また、自分の文章が貨幣経済的価値を生むのは嬉しいものです。

現在、6万字ほど書き上げたところですが、そんなことを考えながら原稿を書いています。原稿を書くことは好きで、やっぱり楽しい。ブログにしてもビジネス書籍の原稿にしても、文章を書いている時間は自分にとって至福の時です。

(外岡 浩)

BOOKS

以下のムックおよび書籍で原稿を書かせていただきました。

4800249368天皇家の食卓と日用品 (TJMOOK ふくろうBOOKS)
宝島社 2015-12-04

by G-Tools

4800246660月とこよみの本
林 完次
宝島社 2015-09-18

by G-Tools


詩の電子書籍です。

B00CPQ6MM2天秤座の彼女 (ポエムピース電詩文庫)
マツザキヨシユキ 外岡浩
株式会社ソーセキ・トゥエンティワン 2013-05-08

by G-Tools

B00CXACOIG小峰に纏わりつくネコ (ポエムピース電詩文庫)
マツザキヨシユキ 外岡浩
株式会社ソーセキ・トゥエンティワン 2013-05-20

by G-Tools

DTMアーカイブス



自作曲弾き語り

ネバー・エンディング・ストーリー(THE NEVER ENDING STORY Cover)